ハースストーンのコーチングを受けた話/その3「選択肢を示す、選ぶ、比較する」
こんにちは、macomoです。
お待たせしました。ハースストーン・たれべあさんコーチング受講のお話第3弾です。
今回はコーチングのなかでも一番大切なことを書きます。
前回まで、僕のプレイの弱点として
・勝ちすぎの手
ともうひとつ
・プレイがふんわりしている
という特徴があることをたれべあさんから指摘されました。
では「ふんわりプレイ」とはどうやって克服していくのでしょうか。
そのためにたれべあさんから教わったのは、「プレイングを選ぶ」視点です。
そもそも「ふんわりしたプレイ」とはなにか?
僕がコーチングを受ける前に感じていた悩みというのは、自分のプレイを反省することができない、というものでした。どこがどう悪くて、勝利に結びつかないのか?それを自分だけでは客観的に把握することがどうしてもできなくて、伸び悩んでいました。
たれべあさんは、そんな僕に対して「プレイがふんわりしている」という言葉とともに、より分かりやすく弱点を指摘くださいました。
ふんわりしたプレイとは、一手一手の動きの理由付けがつきつめられていない、という意味です。
待って、僕は一手一手の理由を考えてるよ?
僕はナマイキにもたれべあ先生に反論しました。
「先生! いいわけさせてください。さっきのはこれこれこうで、こういう風にしたかったから、あのタイミングでカードを使ったんです」
と。
するとたれべあさん。
「そうですね。でも、それだとその手を打ちたい理由しか分からないんです。それ以外のことが考えつくされていないので、なんとなくだし、ふんわりしているんです」
へ?
ど、どういうことでしょう。
きっちり考えるとは、どういうことなのか詳しく説明します。
ふんわりではなく、きっちり考えるとはこういうこと
各ターン、こういうことを考えます。
- 有効そうな打ちたい手を打った場合。
- それをしなかった場合。
これがプランA。
さらに、
- 別の手を打つ場合。
- 別の手を打たなかった場合。
プランAとは別のプランBも考えます。
さらに可能であれば、
- プランAともプランBとも違う手を打った場合。
- それもやらなかった場合。
といったプランCについても考えます。
プランA~Cまで、大切なのは「しなかった場合」についても考えることです。
やりたいことをやるだけではなく、やりたいことをやらなかった場合の戦況変化を想像します。この手を使うと敵ミニオンは倒せるけど、相手のターンに3マナからポンとでかいミニオンを置かれる可能性が高い、と予想する。でもそれをやらなかった場合、こちらは一方的にやられてしまうのでやらないよりやったほうがいい、だからやる。
でも、やると決めたプランAと、一見有効そうに思えないプランBを比較する。どうやらこのプランでいくと相手はこちらの行動に対処しないといけないので別のマナを使う必要にせまられ、3マナミニオンのポン出しを防げる目があがりそう。敵のミニオンは残るけどAとは違いもう少しあとのターンまで想像したときに有利そうな盤面を作れるかもしれない。
このように、Aの採用・不採用と、Bの採用のそれぞれのパターンをできるだけ正確に想像する、ということが第一歩でした。
「できることを示してください」
たれべあさんは、各ターンの最初にこういう意味のことを言います。できることを示す、プランAを教えてください。まずなにができますか?と。
プレイの選択肢を見極めて、先生に提示する練習です。
これが最初、僕にはめちゃめちゃ難しかった。とにかくまともにできません。僕は各ターンの手札を見て「これとこれをつかって、こうなるから、こうしたいです」と言います。選択肢が1個しかないやりたいプレイングを喋っていました。
でもそのたびにたれべあ先生は優しく「そうですね、では選択肢その2は?」と先を促してくれます。「練習なので、間違っていてもいいので別の手を考えて示すという約束でやってみましょう」と。
そういわれても、やっぱり難しい。最大火力の最強手にばかり目がいく僕には、どうしてプランBを考えなければならないのかも分かりませんし、プランB以下が手として有効なのかどうかに自信がもてないので、第二の手、第三の手がそもそも思いつかないんです。
たとえば「コイン・ベロベーロを出す場合」。それに対して「コインを使わない場合」。「コインを使わず下水すすりのゲスを出す場合」、「コイン・ヒロパの場合」そのぞれぞれについて、相手が次のターンにどういうリアクションをとってくるか考えて、その考えもたれべあさんに伝え、たれべあさんの答えを聞いて、なにが正解か考えて、ってやってるうちにロープが切れて、あーーーーー、時間が、足りない!!!!
増やした選択肢からひとつを採用する理由を考える
まず示し、選択肢を増やし、次にそれを採用する理由もできるだけ納得いくまで考えます。いままでの判断基準は「火力が最大だから」くらいでしたが、
「こうすると相手はこうしてくるはず、さらにこうもできてしまう、だから採用するにはリスクがあるが、それで負けるわけではないのでこの手を打っても良い」
とか
「逆にあえてやらないとすると、相手はそれに対してこうしてくるとはっきり分かるから、絶対にこちらはこうしておかなくてはならず、したがってこの手を打たないという選択肢はありえない」
とか
「ではプランBの場合は火力はさがるしダメージもうけるけど、相手はこれを無視してこうしてくる可能性があがるので、逆に言うとこっちはこう安全になるとも言えるしよけいな手札が増える」
とか、
敵のリアクションを予想し、そのリスクを考慮しながら、リソースの管理やアドバンテージの増減までよくよくきっちり考えて、選ぶ手にくっきりした理由をつける、という段階も練習にふくまれています。
もちろん、時間はぜんぜん足りません。ロープ、ロープ、またロープ。
しかも、疲れます。
最初はとにかくこんな感じでした。「できることを示し、した場合、しなかった場合、別の手をとった場合のそれぞれのリアクションまで全部きっちり想像する」というのは脳ミソフル回転でへとへとになる思考です。
選択肢を増やすことが目的ではない
たれべあさんのコーチングの肝は、単に選択肢を増やすクセをつけろ、ということではありませんでした。この練習の本当に意味するところとは、プランAとプランBを後から振り返って自分で比較できるところにこそあったのです。
プランAとB、どちらか採用してゲームは進み、予想通りになることもあれば外れることもあって。それは良かったのか、悪かったのか。少なくとも選んだほうの評価はできます。そして数ターン後、あるいは試合後に、選ばなかったプランBについて考えてみます。あれ、そっち行ってたらもう1ターン早く勝ってたかも?と気が付く材料になるわけです。
逆に相手の手もセットで予想しているため、予想外の手をうってこられた時に記憶につよく残ります。特に相手がなにげなく使ってきたたった一回のヒロパが、あとから振り返ると相手の敗北に直結する自滅の一手だった、みたいなことが鮮明に脳に刻まれます。あれは絶対に自分でやらないようにしよう!と。
ハースストーンは本当に奥が深く、覚えるべきこともものすごく多いので、3時間という限られたコーチングのなかで奥義のすべてを伝えつくすことは不可能だとたれべあさんは言います。ではどうするか?コーチングで最も大切なのは、このコーチング3時間を過ぎた後、自分ひとりで上達を続けられる練習サイクルを身に着けてもらうことだ、と。
これが、その練習サイクルにあたります。たれべあさんのコーチングが終わったあとも自分ひとりで「自分に選択肢を示し、自分で考えて選び、あとから良かったかどうか比べる」という手順をプレイのなかに盛り込むことで、コーチングの時間と同等の練習を重ねることができるようにしてくれました。
たれべあさんとはつまり、釣り糸の垂らす穴を教えてくれるのではなく、釣りの仕掛けのこしらえ方を授けてくれる、そういう弟子想いのお師匠様でした。
「反省する」にはテクニックがいる
今回のコーチングを通して僕がいちばん知りたかったこと。それは、反省するための作法でした。僕は上達の糸口を見失っている状態で、これ以上もう強くなれないと思い込んでいました。だからどう反省すればいいか、それを知りたいと願っていました。それに対してたれべあさんは、期待以上の答えをくれたんです。
どこを反省するかではなく、あとで反省しやすいプレイングがある、ということ。
これは目が覚めるような発見でした。
もう上達できない!という思い込みはある意味では間違っておらず、それは「反省したくても反省しづらいプレイを重ねていたからだ」というお話です。
反省しやすいプレイ。あとで振り返って比較しやすい思考。そういうものがあることを僕はたれべあさんから授かるまでついぞ一度として考えてこともありませんでした。
上達のカギは「やりたくない手」のなかにある
「やりたい手」を追求しているかぎり、反省はしづらいです。勝ってしまえばなおのこと、「やりたい手」が「勝ちへの正解の手」に思えてしまいます。勝ったのだから正解た。やりたい手を最強だと思って使ったら、間違ってなかった。結果だけ見ると正解にしか見えないので、反省できようはずもありません。
でも、やりたい手より「やらなくてもいい手と比べてやったほうがいい手」をシビアに追及することで、「やりたくない手」のなかに思いがけない黄金のプレイが眠っていることに気が付けるのかもしれません。それを自分の引き出しにたくさんたくさんしまえるようになれば、おのずと上達を実感できる日がくることでしょう。
たれべあ先生ありがとう
ちょっと長くなってきたので、ここでコーチングを受けたよのお話は区切ります。
とにもかくにも繰り返し声を大にして言いたいのは、みんなたれべあさんのコーチングようぜ!ってことです。
あ、そうそう!
さいしょのお願い。「ランク1でとまってレジェにいけない悩み」ですが。
はい。
たれべあさんのコーチングの直後に、レジェンドヒット達成しました。
ね? すごいでしょ、たれべあコーチング。
お悩みばっちり解決。現代のゼフリスよ。
やりたい手だけではなく、選択肢を示す、選ぶ、比較するなかで本当に効果的な手を見つけていけば、いつしか「ふんわりプレイ」から脱出できる。そう信じて、ふだんのプレイでもこの練習サイクルを続けていきたいです。
たれべあ先生、本当に、本当にありがとうございました。
それでは、また。